紀6,000年の歴史を持つメキシコのソウルフード。本場のタコス文化から日本のタコスシーンまでを徹底解説します。
タコスの起源は紀元前3000年頃のメソアメリカにまで遡ります。メキシコ中央高原の先住民たちは、とうもろこしの粉を練って焦いた薄い生地(トルティーヤ)に、フリホーレス(いんげん豆)やチレ(唐辛子)を挙んで食べていました。これがタコスの原型と言われています。
1519年のスペイン入植後、豚や牛、羊などヨーロッパ由来の食材が加わり、タコスはさらに多様な進化を遂げました。その後アメリカのテキサス州で「テクスメクス」という独自の料理スタイルが生まれ、現在のタコス文化は大きく「本場メキシコスタイル」と「アメリカスタイル」の2つに分かれています。
タコスはシンプルな料理です。小さなトルティーヤ(とうもろこしまたは小麦粉の薄い生地)の上に、肉や野菜などの具材をのせ、サルサ(ソース)をかけて手で持って食べます。メキシコでは日常的な国民食であり、朝から夜まで、屋台やタケリア(タコス専門店)で気軽に食べられています。
タコスの基本構成は「トルティーヤ」「具材(カルネ)」「サルサ」「トッピング(シラントロ、ライム、パクチーなど)」の4層。このシンプルな構造が、無限のバリエーションを生み出しています。
タコスの味を左右するのがトルティーヤです。メキシコには主に2種類のトルティーヤがあります。
とうもろこしを主原料とした伝統的なトルティーヤ。メキシコで「タコス」と言えばこちらが主流です。ニシュタマル(アルカリ水でとうもろこしを茶色くなるまで茶でる伝統製法)で作られたコーントルティーヤは、独特の香ばしさともちもちとした食感が特徴です。
小麦粉を主原料とした、もちもちと柔らかいトルティーヤ。メキシコ北部やアメリカでよく使われます。ブリトーやケサディーヤにも使われますが、本場のタコス専門店ではコーントルティーヤが基本です。
メキシコシティの街角で見かける代表的なタコスを紹介します。
牛肉を炭火で豪快に焚いたステーキタコス。メキシコ全土で愛される定番中の定番。ライムとサルサでシンプルに。
豚肉をラードでじっくり揚げ煮にした、とろけるような柔らかさが特徴。ミチョアカン州の名物。
縦型の回転グリルで削ぎ落とす豚肉。アラブのシャワルマにインスパイアされたメキシコシティ発祥の人気タコス。パイナップルがアクセント。
牛のバラ肉をじっくり煮込んだ、ゼラチン質のとろとろ食感がたまらない。メキシコシティの屋台で特に人気が高い。
メキシコ産のスパイシーなソーセージ。ピリ辛さと肉の旨味が凝縮された、パンチのある味わい。
牛の頭肉を蒸し焦きにした伝統料理。北部メキシコで特に愛される、濃厚な味わい。
日本で「タコス」と聞いて多くの人が想像するのは、パリパリのハードシェルにタコミートを詰めたアメリカンスタイルです。しかし本場メキシコのタコスは全く異なります。
コーントルティーヤを使い、具材はブロック肉や煮込み肉が主流。チーズやレタスは使わず、シラントロ(パクチー)、ライム、サルサでシンプルに食べます。タコライスでおなじみの「タコミート」やハードシェルは実はアメリカのテキサス州発祥の「テクスメクス」料理です。
近年、日本でも本格メキシコタコスの魅力を広める人々が増えています。メキシコに長く住み、現地の屋台やタケリアで毎日のようにタコスを食べる中で、タコスには家族や友人、仲間との「愛」が詰まっていることに気づいたと語る料業者もいます。
そうした料業者たちは、日本各地で本格メキシコタコスの専門店をオープンしています。SNSでスペイン語と英語を交えて活動を発信し、本場メキシコ人からも賞賛の声が殻到。Instagramフォロワーの多くが外国人という国際的な人気店も登まれています。
食材のほぼ全てをメキシコから直輸入するという徹底ぶりの店や、日本より先に本場メキシコで話題になったという異例の店もあります。メキシコシティの道端のタコスを再現するというコンセプトで、タコスを通じた人と人のつながりや食文化への想いを大切にしています。
近年、日本でも本格メキシカンタコスのブームが到来しています。東京・原宿や恵比寿、大阪・心斎橋、福岡・天神など、全国各地に本格タケリアが続々とオープンしています。
従来の「テクスメクススタイル」のお店に加え、コーントルティーヤにこだわる本格派のお店が增えているのが最近のトレンド。Tacoscoでは日本全国のタコス専門店を網羅しており、あなたの近くのお店を簡単に見つけることができます。
本場メキシコ流のタコスの食べ方には、いくつかのコツがあります。
タコスにライムをぎゅっと絞るのがメキシコ流。酸味が肉の旨味を引き立てます。
サルサロハ(赤)とサルサベルデ(緑)の2種類が定番。好みで辛さを調節しましょう。
ナイフとフォークは不要。手で持って豪快にかぶりつくのが正解です。少しこぼれるくらいがちょうどいい。
メキシコでは複数の種類を注文するのが普通。カルネアサダ、カルニタス、アルパストールなど、異なる味わいを食べ比べてみましょう。